更新日:2022.03.16

理学療法士による脳卒中のリハビリについてのまとめ

脳卒中(脳出血・脳梗塞)後のリハビリについてのまとめです。

詳細は本文中にあるリンクからご覧いただければと思います。

半年で回復が止まる、回数をやらないと良くならないなど色々な説がありますが、ここでは最新の神経科学に基づいたリハビリの考え方や技術について解説しています。

脳卒中について

脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などに大別されています。病名だけでなくそれぞれ異なった原因があります。

再発予防のためにも病気のことを知っておくことは重要です。

下の記事で「脳卒中はどんな病気かを簡単に解説」しています。

リハビリの流れ

発病から社会復帰するまでのリハビリの流れを簡単にまとめています。

先の見通しが少しでもわかると事前に準備したり心構えができるかと思います。

脳卒中になってから、自宅退院するまでの流れ」について一連の流れを知ることで安心できるかもしれません。

また、お仕事へ戻れるのか、通勤はどうなるのかなど、復職のことでお困りの方も多くいらっしゃいます。

お仕事についてもあらかじめ知っておくと心構えや準備がしやすいものです。「どのような流れで復職まで話が進むのか」、実際に来られた方の例や今まで20年以上のサポート経験からまとめました。

リハビリを行う上で必要なこと。それは、筋力や努力だけではなくしなやかさや動き方です。

脳卒中は、筋肉を冒される病気ではなく、脳の中で作られる運動の組み合わせや器用さの障害です。これは運動だけでなく、感覚やバランスなど様々な要因が関与しています。

感覚やバランスを無視して筋力だけを鍛えることがないように注意して取り組むことが必要です。

感覚と運動を積み上げる経験が、動きを改善する鍵」になります。

本来の機能回復だけでなく、杖や補装具を使った機能代償の取り組みも時に必要になります。

杖・補装具は不安定さを補うなど必要な側面の一方、使いすぎると本来の回復を妨げる側面もあります。

しかし杖・補装具など全ての代償を許さないと機能回復が遅れてしまいます。”歩けるようになるまで歩かない”なんてことは現実的ではありません。杖などを活用しつつバランス感覚や歩き方を練習する必要があります。

杖や装具ありきでリハビリをしていると、いつの間にかそれがゴールにすり替わっていたりすることがあります。目標を見据えて何のために歩く練習をしているのか、何のために杖を使っているのかを時々考えると良いと思います。

機能獲得と機能代償の双方を考えながらリハビリを進めていくことが重要です。

できることなら効率よくリハビリを進めたいところです。

効率よくリハビリの効果を身に着けるためには、

  • 食事
  • 睡眠
  • 生活のリズム

が重要です。

食事は、エネルギー補給として当然なのですが、睡眠は体力の回復だけでなく運動のイメージを脳に定着させるために必要です。これらいくつのアイデアがいくつかあります。「リハビリを効率よく進めるための学習」について以下の記事にまとめておきます。

また、日本では半年でリハビリの効果が少なくなるということからこの時期をもって”障害の固定(障害認定)”と言っていますが、諸外国ではこの限りではありません。

国によって回復が異なるわけではなく、医療制度の問題がここにはあります。

半年を過ぎてからも回復を見せる方は多くいらっしゃいます。

目標と現状の把握から一歩ずつ前進することが重要です。

発病から半年を過ぎてもリハビリの効果がある」と証明されています。

機能的回復について

機能を獲得するためには、筋肉の収縮や感覚など基本的な能力の習得が必要です。

また動き方やリズムなども身に着けることが必要です。

実際にリハビリテーション病院を車いすで退院された方が、歩行を獲得するまでのプロセスを下の記事にまとめました。

歩き方をきれいにしたいという思いは皆さま強く思っていらっしゃると思います。

運動の麻痺は筋トレによる筋力のトレーニングだけでなく、動きのスムーズさなど運動麻痺の本質ともいえる運動の組み合わせなどについてトレーニングをすることが必要です。

動きのしなやかさ、巧みさを取り戻す方法」については以下の記事がおすすめです。

片麻痺者の歩き方:早く、きれいに、安全に!」の記事はとても人気の記事になっています。是非ご一読ください。

また、上肢・手の機能回復についての相談も多く受けます。

一般的に脳卒中後の機能回復についての調査では、歩行獲得と比べ上肢機能の回復は少ないことが報告されています。

上肢・手の役割は手で物を動かすことだけではありません。主に以下の3つの役割があると思います。

  • 物を操作する、動かす。
  • 物の認識する(触って・感覚する)
  • バランスを保つ:支えるなど

自主練習

保険下でのリハビリは医療保険、介護保険ともに時間的制約があります。

そのため自費リハビリを希望される方も多くいらっしゃるわけです。

併せてお勧めしたいのが、自主練習。

自身の体について知ることは、問題解決の一歩になります。

怪我をしないように注意しつつ自主練習を取り組んでみてください。

脳卒中の方向け自主トレ動画は下にまとめてあります。

まとめ

目標に応じた計画的なリハビリが機能改善には必要です。

発病から半年を超え医療保険での積極的なリハビリの時期を過ぎた方もあきらめる必要は全くなく、自費リハビリ(保険外リハビリ)などにより必要な能力、機能の改善は起こりえます。

ただし、脳卒中という病気は神経の病気です。筋力や関節の可動域の問題は二次的な問題であって、本質的な神経の働きに注目したリハビリが必要です。

脳卒中など神経疾患を専門としたセラピストの施術がきっかけになることと思います。

最後にRehabilitation Plusでのリハビリ開始までの流れをこちらにまとめていますので興味をお持ちの方はどうぞ。

また、Rehabilitation Plusではボバースコンセプト(ボバース概念、Bobath Concept)に基づいたリハビリを展開しています。「ボバースコンセプトについて」は下の記事にまとめています。

Rehabilitation Plusのリハビリをご希望の方はお問い合わせフォームもしくは電話での連絡をお願いいたします。

この記事を書いた人

塚田 直樹
Rehabilitation Plus 代表 理学療法士として20年以上の経験 専門理学療法士・認定理学療法士・ボバースインストラクターとして年間50以上の研修会に登壇している