視床出血はどのような病気か?
脳出血の中で一番多いのは被殻出血(ひかく)で全体の約半数、二番目に多いのが視床出血(ししょう)で3割強、ついで、小脳出血(しょうのう)、皮質下出血(ひしつか)、脳幹出血(橋:きょう)出血があります。被殻出血と視床出血で脳出血全体の9割弱を占めるといわれています。
この記事では、視床出血と症状、リハビリについて、わかりやすく簡単にまとめたいと思います。
視床とは?
脳の奥にある大脳基底核と呼ばれる神経細胞が集まった場所です。大脳基底核の一つが視床ですが、他に被殻、黒質などがあります。
視床は感覚の中継核として知られています。嗅覚(臭い)以外の感覚情報(光・音・味・触覚・体の動きなど)を大脳に伝える中継所です。
視床出血の症状
視床出血の症状として以下のようなものがあります。
- 意識障害 : 出血の大きさや側脳室への穿破(せんぱ)などによりおこる
- 感覚障害 : 感覚鈍麻(感覚が鈍い)、感覚過敏、しびれ、視床痛(正体のない痛み)
- 運動麻痺 : 出血が視床から外側に進出した時にみられる
- 眼球症状 : 共同偏視、上方注視麻痺、内(下)方視という視線の偏移
- 協調運動障害 : 動作時に手足が協調できない
視床出血の方に全ての症状が見られる訳ではなく、このうちのいくつかの症状が組み合わせになることが多いようです。
実際にリハビリの場面で見かける症状は、半身の麻痺(片麻痺)、半身の感覚鈍麻・しびれ、を主症状とした症状がほとんどです。
視床出血後片麻痺の特徴
論文的な裏付けはないのですが、感覚障害を伴った片麻痺の方が多いのが特徴になります。感覚障害を伴わない片麻痺の方と比べ、細やかな手先の動作(器用さ)の問題、足の接地している感覚(支えている感覚)がわからないというのが目立ちます。
手の感覚が器用に指先を動かすのに重要な理由をお伝えします。例えばポケットの中に入った硬貨の中から5円玉を見つける時に重要です。指先の感覚で穴の空いた硬貨を見つけます。その後硬貨の淵に指の腹を当てつるつるしている硬貨(50円玉は縁に溝があってざらざらしている)を探しています。感覚によって効果を判別できるのは偶然ではなく、視覚障害の方が区別できるように作られているわけです。
一方で足の感覚は通常あまり意識に上らないともいえます。健常な方が立っているときに足のどこに重心があるのかと聞くと答えられますが、常に意識にあるわけではなさそうです。聞かれて考えた結果として意識できる感覚の様です。そのためか、視床出血後の片麻痺の方は手先の不器用さの方が目立ち、歩行に関してはある程度できる方が多いのも特徴かもしれません。
視床出血の方のリハビリ
具体的なリハビリの内容は千差万別様々です。しかし、上記の特徴や症状に合わせたリハビリを行うことで機能改善への道筋がひらかれるのではないかと考えています。
対象となる方に必要な機能を分析してリハビリの計画を立てることがとても重要なことだと思います。