サイズの原理・休んでいても働いている筋肉とは

筋活動には順序性があります。

それは小さな運動単位が大きな運動単位に先行して働く「サイズの原理」という理論に従って筋活動が起こるためです。

このサイズの原理についてまとめたいと思います。

運動単位とは一つの運動ニューロンが支配する筋線維をいいます。

一般的に精緻な動作をつかさどる手指や口腔周囲などは一つの運動ニューロンが少数の筋線維をつかさどる小さな運動単位が多く、粗大運動をつかさどる下肢の筋は一つの運動ニューロンが多くの筋線維を支配するといわれています。

要求される筋活動が増すに従い以下の順に運動単位の発火が変化します。1→4の順です。

運動単位
運動単位
  1. 小さい運動単位が低頻度で発火
  2. 小さい運動単位が高頻度で発火
  3. 大きい運動単位が低頻度で発火
  4. 大きい運動単位が高頻度で発火

要求される筋活動が減るにしたがい逆の順でモーターニューロンの発火が減るというわけです。これは4→1の順です。

上の順序性に”0”がなく、筋が活動しない状況はないということになります。

要求される筋活動が少なくても体を支えるための筋活動や筋の準備状態としての筋活動は保たれているわけです。

さらに、小型の運動単位の特徴は大きな力を発揮はできないが持久性に優れた「遅筋線維(赤筋成分が多い)」、大型の運動単位は、大きな力を発揮できるが持久性は低い「速筋線維(白筋成分が多い)」が多いのです。

健常な状態では大きな活動が要求されていなくとも小さな運動単位が遅筋に対して低強度の筋活動を指令しています。これにより筋は活動の準備状態を維持しているわけです。
そのうえで大きな活動が要求されると大きな運動単位が活動し強い筋活動が起こります。

さて、患者さんの筋活動はどうでしょうか?筋活動の準備状態ができていますか?

筋の準備状態ができているうえで動作が要求されるため、滑らかな動き・効率的な動作が実現できているわけです。