Spastic Gait(痙性歩行)とは??

Spastic Gate(痙性歩行)とは、上位運動ニューロンの傷害によっておこる四肢筋(ここでは下肢筋)の痙性麻痺による歩行障害とされています。両足が突っ張り、股関節が内転する様相からはさみ足歩行(Scissors gait)とも呼ばれることもあります。

原因となる疾病は、脳梗塞、脳卒中などの脳血管障害や多発性硬化症、脊髄損傷などがあげられます。

痙縮・痙性についてのまとめは別の記事にあります。

痙縮が見られると運動の組み合わせが、限定的になり複雑な動きが難しくなります。

痙性とシナジー

正常歩行の際の筋肉の働きの組み合わせ(筋シナジー)は4つもしくは5つの組み合わせを用いて構成されると考えられており、痙性のみられる筋はこの組み合わせの一部がうまく使えないことにより歩行のスムースさが欠けてしまいます。

以下の図はFrancescoらの研究による歩行時の筋活動の組み合わせ(シナジー)の図です。
組み合わせ1(Module1)から4の4つの組み合わせを用いて歩行の各相が再現されています。

(Francesco Lacquaniti et al, 2012 Patterned control of human locomotionより引用)

例えば下腿三頭筋に痙性が見られている場合、組み合わせ3(Module3)で見られている前脛骨筋(TA)の働きと拮抗し遊脚初期の足関節背屈が困難になり、結果的に足を高く持ち上げるか振り回すように前に運ぶ分回し歩行の歩容となります。また、組み合わせ2(Module2)のヒラメ筋・腓腹筋による底屈の運動性も十分確保できないことから、立脚後期(Late Stance)でのけりだしも困難になります。

このように痙縮は筋肉そのものの硬さや柔軟性低下だけでなく、動きの中での妨げになると考えられます。

リハビリの紹介

今回は頚髄症の術後の痙性を伴った歩行障害に対するリハビリの一場面を紹介いたします。あくまで一例ですので参考としてご覧ください。

Spastic Gait(痙性歩行)のリハビリ場面の一例

リハビリ場面の概要

上の動画はおおむね以下のような流れでのリハビリ場面となっています。

  • 体幹筋による骨盤の引き上げや胸郭の運動性低下に対して前半部分でアプローチ。
  • 下肢の支持活動を増すことで、股関節屈筋の過緊張や短縮の改善を促す。
  • 荷重を受け入れられる足部の副運動(副運動=Accessory Movement)とアーチ機構の改善を試みる。
  • 立位で下肢の支持能力改善と支持期から遊脚期への切り替えをスムースにする

まとめ

簡単に一場面をまとめてみました。一重に痙性歩行(Spastic Gait)と言っても、その方の持つ身体機能や代償活動(動画の方では、体幹、股関節の過緊張や筋短縮など)によってそのリハビリ流れは異なります。

個別性の評価と、正常な歩行周期(Gait Cycle)を考えたリハビリ計画の立案が非常に重要といえます。

歩行のリハビリに必要な要素などは以下の記事にまとめています。こちらに詳しく説明がありますのでご覧ください。