”立っている感覚”を取り戻すには

リハビリの最中に患者さんに「右足で支えて。」とか「左足で立ってください。」などといったことはありませんか?

足が支える感じ、立つ感じはどの様にして生まれるのでしょうか?

”立つ感覚”は脚から生じる感覚だけで構成されているわけではありません。

立位の特徴である頭部が高いところにあり、遠くを見渡せるということは前庭からの情報が頭部が高いところにあることを認識しなければなりません。

また、目にとらえている情報は空間の高さを含む広がり情報である必要があります。

足底の表在覚、筋からの固有受容感覚を含む体性感覚情報と、前庭感覚、視覚といった特殊感覚の組み合わせがあればよいのでしょうか?

答えは、No!です。

なぜなら、床反力を検出し、垂直を認識するプロセスがないからです。

足底の表在感覚と抗重力筋からの固有受容感覚は、壁にもたれた立位でも生じます。ピンとこない方は試してください。立っている感覚には程遠いはずです。

”立っている感覚”のためには下肢・体幹などの抗重力筋が運動出力し、その結果生じる床反力を感覚情報として検出し平衡を維持しつつ、重心を高い位置に保つという行為が”立っている感覚”を作り出しています。

わかりにくい方は、立ってどちらかの足をかかとに向かって伸ばしてみましょう。

その踵の上に下肢、体幹のアライメントが整い、床反力が生じた側の脚で立っていると思います。

感覚ー運動連関を示した模式図

まとめ

各感覚器からの情報を基に二足直立という不安定な身体配列を制御している我々人類。

この支えている感覚を基に人の特徴である、道具操作や言語音声によるコミュニケーションが成立しています。

2本の脚が安定して支えているからこそ、上肢が自由に使え、呼吸に合わせて音声を作り出すという巧妙な活動を作り出しているのです。

さて、もう一つの特徴である歩行について関心をお持ちの方も多いかと思いますので以下にまとめています。

歩行のリハビリについてはこちらのまとめをごらんください。