リハビリは感覚と運動を積み上げる経験が重要

リハビリは感覚と運動の経験のサイクルで積み上げる

このページを読まれている方の多くは、リハビリについて何らかの疑問を持ったり、先行きに不安を感じている方ではないでしょうか?
ここでは、中枢神経の病気をお持ちの方向けにリハビリの進め方を簡単に書いています。

リハビリというと、きつい、つらいというイメージをお持ちの方が多いかと思います。棒につかまって立つ・歩く、歯を食いしばり汗を流して根性から鍛え上げるというイメージを持っていませんか?

歩けるようになりたい方にひたすら歩く練習、筋トレを繰り返す、これでは歩けるようになりません!

うまく行わないと習得できない!

健康な方が何か新しいことを習得しようとしたら、このようにきつい練習、根性がへし折れそうな練習を選ぶでしょうか?私だったら逃げ出していると思います。

例えば、初めてテニスをしようとする青年に対してひたすらテニスだけをやらせておくあるいは、ウィンブルドンを目指してひたすら走り込みなんてありえますか? 笑い話のようです。

実践した経験から学ぶこともあり、その中で足りないことを基礎練習として行うから効率よく習得できるのです。

おそらく、多くの方が、試行錯誤しながら”コツをみつける”作業をするかと思います。どのくらい強く打つか、どのくらい力を入れるか、抜くかなど様々あるかと思います。

コツを見つけるプロセスこそがリハビリ

この作業こそまさにリハビリに必要なことなのです。

病気で不自由になった体をいかに動けるようにして、活動を行うかということが課題になります。そのために必要なことは何でしょうか?

筋力でしょうか?根性でしょうか? もちろんある程度どちらも必要ですが。

要領よく・効率よく動くことを目指し、滑らかにスムースに動くことを考えてみてください。

健康な方が何かを習得しようとすると、”どうやってやればよいのか?”というコツを見つけようとします。
感覚を研ぎ澄ますようにして、その動作に集中し、タイミングを見てやってみます。
そして失敗・・・、何度かやって”できた!”となります。
これがコツをつかむプロセスです。
まさにリハビリはこのコツを見つけるプロセスなのです。

問題は中枢神経の処理過程

特に中枢神経の病気をお持ちの方は、以下のような問題がありコツをつかむのに苦労があります。

感覚・知覚

外界の情報を得ることです。足がついていると、どのくらい力が入っているとか、自分がまっすぐか否かなど。身体の状況をつかむのに有用な情報源です。

認知

感じ取った情報をもとに、判断して運動の計画をすることです。どうやって課題に取り組むかの計画を立てます。例えばドアを開ける際に、どのようにドアノブを握るかを決めることや、床に落ちているスリッパをまたぐか迂回するかという計画を立てることがこれに該当します。

情動・記憶

価値判断をするための体の中にある判断基準です。強いストレスはやる気を失わせるため、状況を見ながらストレスを調整する必要があります。

運動

運動のパターン(組み合わせ)や力の入れ具合を筋肉に伝える。麻痺・痙縮などはこの問題に属しています。

生態力学

関節の硬さ、筋力、関節の問題など


おそらく、テレビドラマなどで出てくるリハビリの場面の多くは一番最後の生態力学の面だけに焦点が当たっていると思います。筋力をつける。硬い体をストレッチするなどですね。

ヒトの動きの一連の流れは上記の感覚から運動までの流れを中枢神経の中で情報の整理をすることによって行えているわけです。ですので、中枢神経の病気(脳卒中・パーキンソン病・脊髄の障害)をお持ちの方は直接筋力などの問題を起こしていないわけです。

体をまっすぐという感覚をつかむため、手伝ってもらってでも姿勢を修正して動き方のコツを見つけていくことが重要です。感覚と運動を循環させより動作のコツを見つけることができます。

目標に直結したリハビリを

私の思っているリハビリは、クライアントが「○○をできるようにする」ということです。ですので、私がやり方を教えるということではありません。

「なぜできないのか?」という問題の分析をして上記の問題のどこで問題が起こっているのかを見極めて”できるようにする”リハビリの計画を立てています。

歩くことが困難な方が私の前に現れたなら、以下のような流れで動きを見て原因を見つけ出すことから始まります。

まっすぐを認識できているか?(感覚)→歩き出すために正しい位置で片足が支えているか判断出来ているか?(認知)→一歩目の足の運びはどうか?(運動)

足が支えている感じがわからない方に、筋力トレーニングをするという目標に直結しないリハビリを行わないことになります。

ここでは具体的なリハビリの進め方について書ききれませんのでご興味を持たれた方は是非お問い合わせください。
医療関係者の方は勉強会を開催しておりますので是非ご参加ください。