脳卒中のリハビリについて徹底解説


脳卒中発病後、状態が落ち着き次第リハビリが開始されることが推奨されています。

リハビリには様々な方法や考え方に基づいたアプローチがありそれぞれにメリットがあります。リハビリを行っている背景を知ることで安心してリハビリに取り組めるかと思います。

この記事では、脳卒中後のリハビリについて一般の方(患者様・ご家族様)向けに書いています。

脳卒中のリハビリ全般のまとめについては以下の記事が参考になります。合わせてご覧ください。

どんな方法・手技(なに法)が良いのか?

「○○法が良いんですよね?」「○○法は良くないと聞きました。」と時々聞かれますが、その時に必要なことを行っていれば良いと言えます。リハビリの担当されている先生に現在の状況や見通しなど聞いてみると良いと思います。

ドクターショッピングという言葉をご存知でしょうか?

「○○法が良い」、「○○病院が良い」、「○○先生にみてもらいたい」とあちこちの先生を訪ね回り定着した主治医を持てない患者さんのことを指す言葉です。

リハビリにも同じことが言え、信頼を置ける先生にじっくりと見てもらうのが良いと言えます。
脳卒中後の機能回復はある程度時間との闘いというのも事実です。
時間がたつと回復しないということはなく、半年を過ぎても機能回復を認めるというデータも多くあります。
発病から60日以内に回復期リハビリテーション病院への転院し最大180日の入院期限がありますので、あまりゆったりとはしていられない現状もあります。

目標が大事

明確な目標が共有されないとリハビリは進みません。”歩きたい”だけでなく、どの程度歩きたい、どこまで歩きたいなど具体的な目標があったほうがリハビリは進みやすいです。

”元通りになりたい”という目標をおっしゃる方がいますが、正直言って難しいです。なぜなら、私たちは患者様の元通りの姿を知りません。

しかし、電車に乗れるように、トイレまで歩けるように、お買い物に行けるようになど具体的に言ってもらえるとそれを想像して何が困難であるかということを見つけることができます。

目標に向けて一段ずつ

最終到達目標と短期目標を考えておくと良いと思います。

”麻痺した手で食事をしたい”と考えていらっしゃるなら、食事の時に麻痺した手が膝の上に置きっぱなしにするようなことはないでしょう。

食事をするために手をテーブルの上に置いておくことや食器に添えておくことなど小さな目標からの積み重ねがなければ、最終目標への到達は困難を極めることは想像しやすいと思います。

寝ているときから歩く練習

起きられなくても歩行や上肢の機能回復へ向けた準備は始まっています。立つ・歩く練習の準備を例に説明します。

ベッド上で起きられない時期

仰向けに寝て、膝を立て足の裏に体重をかけること、お尻を上げて股関節・膝を伸ばす筋肉を使うことなど起きられないからと言って歩く練習ができないとは言えません。

寝ているときはバランスをとらないので横向きで体を保つ筋肉を使うようにするなど様々な方法が思いつきます。

車いすなど座れる時期

立ち上がりに必要なことは体を伸ばすこと、足で支えることです。背もたれから離れ背筋を伸ばし、バランスをとることや足に体重をかけ支える練習なども行えます。

立って練習ができる時期

実際に立てるようになったら、バランスと支え、左右への重心の移動などより実際の場面に近い練習ができます。

以上の3つの場面についてすべて歩行に必要な要素を練習しています。この要素の積み重ねこそが機能の獲得につながるわけです。

心身機能・身体構造(運動麻痺や感覚障害など)と活動(歩行など)そして参加(仕事へ行くなど)は相互に作用しあっていると考えられるため、立てるようになるまで歩く練習(の準備)ができないということにはなりません。

ICF

ICF 国際生活機能分類
国際障害分類(ICF)の構成要素間の相互作用 (厚生労働省ホームページより)

まとめ

「まだ座れもしないのに歩くことを言ったら変だと思われちゃうかな?」などと思わず、担当の理学療法士らに相談することが重要なことと思います。

安心してリハビリに取り組んでいただき、良い結果を手に入れていただけることを願っています。

自費リハビリの相談があれば、お気軽にお問い合わせください。