リハビリの学習効果を高める注意点を3つ解説
リハビリを行うと体が動きやすくなったり、できなかったことができたりとその時の効果は目に見えるものがあります。即時効果といいます。
日常生活にこの効果を反映させることが大事で、行ったときだけ良いリハビリでは本当に効果があったとは言えないと思います。
即時効果に対して長期効果と表現することがあります。この長期効果のためには学習が必要です。
学習とは
学習というとどのようなイメージを持つでしょう?
学習塾という言葉がありますが、学習塾は勉強を教わるとところです。学習と勉強は似ている言葉ですが全く違います。
勉強は強(し)いて勉(つと)めると書きます。これは人間固有の行動だと思われ、「学問や技術を学ぶこと」(広辞苑より)を指しています。一方学習は、ヒトでなくとも行います。動物は移動することや捕食することを学習し、AIはヒトの行動や習慣を学習しますが、自ら新しい知識を習得しようとはしません。
リハビリで必要な事は意外かもしれませんが、学習なのです。
健康な成人は1歳ころ初めて歩くということを経験しますが、これは言葉もわからず、だれからも教わったわけでもないのに歩き方を学習したからにほかなりません。
この後に書いてある要素をうまく取り組んでいくことで即時効果を長期効果に反映させることができると思います。
効果が続かない(長期効果がでない)と感じている方は、ぜひ最後まで読んでください。
学習に必要な要素
学習するために必要な要因がいくつかありますので、書いておきます。
回数
一つの動作を習得して無意識に行ってもある程度成功するために、3,000回程度施行を繰り返さないとならないといわれています。これは小脳が運動の的確さを習得するのに必要とされる回数です。
歩くことで、考えると3000歩歩くなんてことはたやすいことだと思われます。健常成人は1日でこの回数を上回る回数を行っているわけです。
正確さ
「学習するべき動き方」どのような動き方を身に付けるために行っているかは非常に重要です。
簡単に言うと”間違えた動き方”を覚えないように、姿勢や動きを確認しながら行うようにということです。確認の方法は出来たか否かという結果だけでなく、フォーム(見た目)やバランスなど自身の感覚を使って行うと良いです。
試行錯誤
集中力をもって実行し、もっとうまくいくにはどうするかという修正を繰り返す試行錯誤(トライ アンド エラー)が必要です。時に繰り返しの無い繰り返しという表現をしたりします。
言われたことを漫然とやっていてもダメです。目的意識を持ち、より上手く行うためにどうしたらよいかということに脳をフル回転させる必要があります。
効果は相乗効果で狙う
「言われた通り○○を100回やりました。」という申し出があった場合、効果は少ないと考えます。回数だけでなく、上の3つの要因すべてが動作の習得に必要だからです。
回数×正確さ×試行錯誤=長期効果 と考えます。
雑な表現になりますが、100回やっても、1,000回やっても、適当に、ダラダラやっていたら効果が出ないということです。
まとめ
リハビリの効果を即時効果でなく身に着けようとしたときに考えるべき3つの要素をまとめました。
自主練習を伝えると回数についての質問は良く受けますが、正確さや試行錯誤するべき内容についての質問は受けたことがほとんどありません。
少々きつい言い方になりますが、”集中してうまくいくように工夫しながら数を行わなければ効果は出ない”でしょう。
これは、スポーツのアスリートが洗練された動きを習得するプロセスにも共通することです。何も特別なことではありません。
とはいえ、何をどれだけ行うかなどリハビリの内容が不確かでは効果は出ませんのでリハビリ担当の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など専門職にお尋ねください。