ボバースコンセプトの中で大事にしてきたもの
ボバースコンセプトは先日もお書きした通り、リハビリテーション概念であって手法ではありません。そのため、特定のやり方などは決まっていないので後輩などに伝えにくいというのがとても悩ましいです。
ですが、以前からボバースコンセプトで大切にしてきた視点がいくつかあり、セラピストの評価、治療における方向付けを示しています。
- トーン
- パターン
- 相反神経支配
- 固有受容感覚コントロール
の4つです。
今日では、この表現(言葉)は様々な場合、状況、患者様において適切でないことがあるため研修会などでこの4つの話はあまりしません。
トーンは、筋緊張だけでなく、姿勢筋緊張をさしています。
身の回りの環境や課題によって変化するトーンは、触ったり、動かしたりといった際に図ることができます。
効率よく動くためには、支えるのに必要なトーンの高さと動くのに必要なトーンの低さの両側面を持ち合わせていて常に調整されているわけで、とてもユニークな考え方だと思います。
パターンは現代のリハビリテーションにおいても重要視されるビューポイントの一つです。
運動だけでなく、姿勢(構え)もパターンに含まれ、ヒトが作り出す動作、行為の効率性を見て取ることができます。
相反神経支配はもともと、生理学では相反抑制という言葉で主動作筋と拮抗筋の緊張の関連性を示した言葉であったかと思います。
ボバースコンセプトの中では拮抗する筋群間だけでなく、近位部と遠位部の筋群、あるいは左右の筋群間での関連性に着目していました。
例えば、近位部(肩)のstabilityが保証され、遠位部(手)のmobilityが発揮できることなどは治療上良く観察していたことです。
この見方は今日のリハビリにおいても良く観察されるポイントだと思います。
固有受容感覚コントロールですが、体性感覚情報による姿勢制御を重要視していたため、上記の3つの項目に後に加えられたと聞きました。
姿勢制御をボバース用語でPostural setと呼んでいたのも懐かしいです。
感覚系からの入力が姿勢制御に影響を与えリハビリの考え方でも重要であることは1996年頃J.Massionらの研究で多くのセラピストに浸透したことと思います。
誤解を招かないために、この4つが重要ですとは言いませんが、古くからこういった視点をもって発展してきたボバースコンセプトは時代の変化や神経科学の発展に合わせて日々進歩し続けています。
ボバースコンセプトについては下の記事にまとめています。