2021年最新版 パーキンソン病のリハビリ
パーキンソン病のリハビリについて解説いたします。
パーキンソン病の治療
パーキンソン病の詳細は、日本神経学会のホームページに詳細が説明されておりますので、そちらをご覧ください。
治療は主に薬物療法とリハビリの2本立てで考えられていました。今日では、手術による治療も開発されてきていますが、詳細は専門サイトに委ねます。
パーキンソン病のリハビリ
20年以上パーキンソン病のリハビリに関わってきた理学療法士の視点からこの記事をまとめています。
パーキンソン病の特徴
パーキンソン病を患っている方の外観からの特徴を以下にまとめてみました。
- 前屈姿勢、手足が伸びにくい
- 歩幅が小さい
- 腕の振りが小さい
- 危なっかしい(バランスが悪い)
- 動きが遅い
- 動作が小さい
- 小声
以上のことから動きが小さく、背中を丸くしている状態になります。
どんなリハビリが必要か?
主に手足を引っ込める筋肉と背骨周りの筋肉が固縮の影響を受けやすく、体が伸びにくくなります。また、胴体・首の部分は伸びる方向に加え、ひねる(回旋)方向への動きも制限されやすくなります。
そのため、体を伸ばすために固縮によって縮まった筋肉を伸ばすということが必要になります。動かす方向は、伸ばす(伸展)、捻る(回旋)方向となります。
本質的にパーキンソン病では、筋力低下は起こりませんが、活動量の減少などにより二次的に筋力低下・体力の低下などが起こりますので、この点も併せて取り組む必要があります。
体を動かす意義
私たちは自分の体をよく知っているのです。目の前に水たまりがあった時に、またげるかどうかは見たらわかります。それは、自分の脚がどのくらい伸ばせるか(またぐために足を開けるか)を知っているからです。
体や筋肉が固く動ける範囲が少ないと、運動する際に動かす量が少なくなってしまいます。しっかりと体を動かし自分の体がどこまで動かせるのか、最大限の動きを知っておく(経験する、体で覚える)ことで動きが大きくなると考えられます。
パーキンソン病の方は身の回りのものとの距離感が正しくつかめていないということがわかっています。( パーキンソン病患者におけるリーチ距離感の自己認識とバランスの関連性, 大槻ら)
自主トレーニング動画
いくつか自主練習用の動画をご紹介いたします。
その他の自主練習動画も下のページで紹介しています。
どう継続していくか
リハビリは継続する必要があります。しかし、継続することはなかなか難しく、三日坊主となりがちです。
工夫の仕方として、日課にする、一緒に行う人を探すなどが良いと思います。公園で毎日体操していると少しずつ顔見知りが増え話をしたりするようになります。
徐々に声をかけるようになると毎日同じ時間に公園に体操に行く習慣ができると思います。
個別のリハビリが必要
パーキンソン病の方の多くは60代以降の発病です。発病までの生活習慣などで体が硬くなっている方もいれば、ほかの病気を抱えた方も多くいらっしゃいます。
加えて、パーキンソン病の方の中には元気に社会参加されている方もいれば、車いすを必要とされる方など病状も様々です。
個人差がかなりありますので、本来は個別のリハビリの計画を立てることが必要になります。
上記のようにパーキンソン病の特徴がありますので、ある程度”パーキンソン体操”のような型通りの体操でも良いかもしれません。
伸ばす・捻るなどを組み合わせた体操になると思います。
どこかでリハビリを受けられるか
当施設に通っていおられるパーキンソン病の方から、『主治医から「リハビリが大事だから頑張って』と言われたけど、どこに相談して良いかわからない』と相談を受けました。
当施設でもリハビリを受けられますのでご希望の方はお問い合わせください。
また介護保険の被保険者であればケアマネージャーに相談してみると良いかと思います。入院されることがあれば是非担当のリハビリ専門職(理学療法士・作業療法士など)にお尋ねください。
その他、パーキンソン病友の会では、時々理学療法士などを呼び指導を行っているところも多いようです。私もかつて都内の友の会にお邪魔させていただいたことが何度もあります。
全国パーキンソン病友の会(JPDA)
まとめ
パーキンソン病に限ったことではありませんが、リハビリは運動だけでなく社会への参加など様々な側面からも考える必要があります。
そのため、食事、睡眠、運動など生活のリズムを作ることも外せない要素となります。
以下の記事では、運動だけでなく、包括的に考えたリハビリを紹介しています。是非合わせてご覧ください。