更新日:2022.03.16

パーキンソン病のリハビリを包括的に考える

パーキンソン病でリハビリを受けたことがなく、初めて来られた方のリハビリをご紹介します。

服薬治療はかかりつけの医師がおりすでに治療中。

今回の相談内容は、「徐々に動けなくなってきていて何とかしたい。」ということでした。

評価

痩身で、決して活発とは言えない雰囲気。

ご家族と歩いていらっしゃるが、時々よろめく。

お話を聞くと、時々動悸がしたりして苦しくなるとのこと、便秘や夜間のトイレも頻回。

以前は朝食の支度もご自身でしていたがこのところ朝起きられなくなったとのこと。

寝起きに頭が痛いこともしばしば。

尋ねると夜間いびきをかいているとのこと。

見たところ明らかなふるえ(振戦)や動作緩慢は見受けられず、バランスもおひとりで歩け、靴をそろえる際にかがんでも転倒する様子はない。

突然振り返るなどした際に足がもつれるような様子があるが転んでしまうほどではない。

リハビリの内容

はじめの数回は四つ這いでのバランスや膝立ちなどのバランスの練習などを行った。

その後、動悸が原因で日中横になっていることがわかり、再評価。上記の内容を考えると以下の様な仮説が生まれてきた。

夜間頻尿で、寝不足になりがち。朝が起きられず、日中も活気が出ない。

そのため運動も減り食欲低下がおこる。

またこれが便秘なども引き起こしている可能性がある。

夜間のいびきは呼吸を妨げ体への酸素供給を困難にしている。

この仮説をもとに、生活のリズムを作り直すことを取り組む。

夜間しっかりと眠れるための姿勢を見つけることを行った。

抱き枕を抱え、横向きに寝ることで少し解消できそう。

日中、運動量を徐々に増やしつつ、時々深呼吸(鼻から吸って口から吐く、腹式呼吸、呼気をながめ)などを行っていただいた。

まとめ

リハビリは運動機能の改善だけでなく、うまくいっていない原因を見つけることから始まる。

この事例では生活のリズムを正すことから開始した。

リハビリをしているときだけでなく、原因となっていることはなんであるかを意識してリハビリに取り組むことが重要かと考える。

パーキンソン病のリハビリ全般については以下の記事「最新版 パーキンソン病のリハビリ」で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。

この記事を書いた人

塚田 直樹
Rehabilitation Plus 代表 理学療法士として20年以上の経験 専門理学療法士・認定理学療法士・ボバースインストラクターとして年間50以上の研修会に登壇している