更新日:2022.03.16

Evidence Based Practice (EBP)について

確立された方法論の無い分野で働く専門職にとってどの手法が良いのかは長年の議論になっていた。

医療(精神心理療法・リハビリテーション)や教育において長気にわたって現場での経験に基づいた方策がとられ、個々の経験を蓄積されない経緯に原因があるともされてきた。

何がうまくいったのかという実践の経験を蓄積していくことが重要とされている。

根拠に基づく実践(EBP)は専門家やその他の意思決定者が意思決定をする方法を特定しようとするアプローチであり、実践のエビデンスを特定し、実践をどれだけ科学的に健全かによって評価する。根拠に基づく実践のゴールは不健全で極度にリスクのある実践を排除してよりよい結果をもたらす実践を支持することである。

この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたウィキペディアの項目<「根拠に基づく実践」を素材として二次利用しています。

ボバースコンセプトにおけるEBP

ボバースコンセプトでは、症状や現象に対して”Why?”、そして理由として”Because!”と仮説を持ち検証作業を行っています。

例えば片麻痺で支えられず膝折れをする現象を見たときに、麻痺側下肢の持続的収縮が乏しいのかな?(Why?)と思ったら、大腿四頭筋と拮抗するハムストリングスの収縮を促したりします。

片麻痺は持続的に主動作筋と拮抗筋を働かせることが困難になるので抗重力筋を協調的に働かせることができない(Because!)となります。

しかし、両筋の収縮を促すと踵が浮いたとします。これに対し、再びWhy…?、Because!と検証を行っています。

この検証の速さと回数が熟練したセラピストは多いと言われています。

ですので、上の例を見たときに大腿四頭筋の筋トレという発想にはならないのですね。問題は、筋のボリュームでもなければ、単一筋の問題でもないですからね。これは、セラピストならわかっているはずです。

この時(Practice)に必要な基礎知識(Evidence)がとても重要だと思います。

姿勢制御や感覚運動連関、運動制御など、私が必要そうだと思ったことを適当に上げたものが以下の図になります。

これらのエビデンスに基づいたリハビリの組み立てが重要であり、この中で思考を繰り返すことが経験となります。

ボバース臨床実践モデル(MBCP:Model of Bobath Clinical Practice)

ボバースコンセプトではこの思考プロセスをMBCPというモデルで説明しています。

IBThe Model of Bobath Clinical Practice. Michielsen M, Vaughan-Graham J, Holland A, Magri A, Suzuki M. (2017). The Bobath concept – a model to illustrate clinical practice. Disability and Rehabilitation, 7, 1-13. Figure 2, page 3)

詳細はIBITA(International Bobath Instructors Training Association)のWebサイトをご覧ください。

このモデルには、評価のスキル、ハンドリングのスキルなど様々な視点からPracticeの推進を支援するものです。

まとめ

EBPについてまとめました。日々の臨床での実践を知識と照らし合わせながら経験していくことが大切です。

神経疾患のリハビリを行ううえで必要な基礎知識」は下にまとめていますのでご覧ください。

この記事を書いた人

塚田 直樹
Rehabilitation Plus 代表 理学療法士として20年以上の経験 専門理学療法士・認定理学療法士・ボバースインストラクターとして年間50以上の研修会に登壇している