更新日:2022.03.16

脳卒中発病から15年目のリハビリチャレンジ・回復への道

事例の紹介

70代 女性 独居 デイサービス利用中

15年前に脳出血を発症。左片麻痺の後遺症があったものの一人で外出できるまで回復していた。その後転倒歴があり骨折歴もある。今回入浴中に立ち上がれなくなり救急要請となった。緊急的に入所したョートステイの入所期限が3週間のため、歩行の再獲得を目的に当施設へリハビリの依頼があった。

評価

車いすでショートステイから介護タクシーでご家族付き添いのもとご来所されました。痩身で小柄で風が吹けば倒れそうでした。表情も硬く、小声で自信なさそうな様子です。

感覚障害、運動麻痺とも今回動けなくなる前と比べ明らかな増悪はないものの、自力で立つのがやっとでした。 転倒に強い恐怖感を訴え、車いすのひじ掛けから手を離すことは難しかったものの、介助があれば杖でゆっくりと歩けます。

集中的にリハビリを行った方が良いと判断し、週3回、計9回のリハビリを計画しました。

目標は、歩行の再獲得と自宅での一人暮らしの再開としました。

リハビリ場面

発病以来麻痺側(左)に寝返りや左側から起き上がりを行ったことがなく、左方向へ体を預けることに強い恐怖感を訴えていました。そのため左への寝返り、麻痺側からの起き上がりを誘導と共に行い、3回目のリハビリの際には自力で左側から起き上がれるようになりました。

その後、立位でバランスを改善するべく立って左後ろを振り返る、床に手をついて座るなどの練習を行いました。これは、立っている姿勢から振り返る回旋方向、床へしゃがむための上下方向の動きと平衡感覚の練習として行いました。

結果とまとめ

リハビリ前後の変化

短期間に集中して計10回(本来9回の計画であったものの、想像以上の改善に希望で延長したため)のリハビリで以前よりも運動機能に改善が見られました。

前後の変化は上の写真の通りで、要点をまとめると以下の通りです。

  • 一人で歩けるようになった
  • 杖の位置が自然になった。(開始時は外に開きすぎ)
  • 視線が上がり周りを見回す余裕が生まれた

無事ショートステイを退去し一人暮らしが可能となり、杖なし歩行の獲得を目標にリハビリを継続中です。

現状の運動機能だけでなく、生活そのものや今までの体の動き方も見てリハビリの計画を立てたことが功を奏したと考えられました。

この記事を書いた人

塚田 直樹
Rehabilitation Plus 代表 理学療法士として20年以上の経験 専門理学療法士・認定理学療法士・ボバースインストラクターとして年間50以上の研修会に登壇している