更新日:2022.03.16

経過の長い方のリハビリの効果について

リハビリテーションに関わりよく聞かれることの一つが「発病から○○年たつけれど良くなるのでしょうか?」、「病気をしてずいぶん経ちますが良くなりますか?」という発病からの期間についての質問です。

結論から書きますが、発病からの期間は影響しますが、それよりも重要なことはどの様なリハビリを行うかということです。

科学的にどのように考えられているのかを解説いたします。

3か月までの回復はすごい!?

発病から1か月程度を急性期という風に表現し、この時期は病状が不安定であるものの床上からであってもリハビリテーションを開始することが進められています。

そして、その後回復期という風に表現し150日ないし180日を上限とする回復期リハビリテーション病棟でのリハビリが提供されています。

発病から3か月程度は自然回復による機能の改善が著しくこの時期に集中的なリハビリを行うことが推奨されています。

特に継続した適切なリハビリ介入が機能の改善に有効とされています。

半年たったら変わらないのか?

半年程度たつと、機能の改善が停滞すること(プラトー=平坦化)から半年程度は病院などでのリハビリが積極的に取り組まれていた経緯がありました。

その後、必要な方には介護保険での訪問リハビリなどのサービスが展開されています。

ただし、介護保険でのリハビリ利用者の方から質・量ともに少ないという意見が多く聞かれている現状もあります。

Hatemによると回復期以降のリハビリと社会参加が機能回復に影響するとしています。

つまり、病院を退院した後の時期でも十分に回復する可能性はあるといえます。

”Rehabilitation of Motor Function after Stroke: A Multiple Systematic Review Focused on Techniques to Stimulate Upper Extremity Recovery”, Samar M. Hatem 2016 より引用

事例の紹介

Aさん 80代男性 脳梗塞により高次脳機能障害と軽度の左片麻痺があり、回復期病院を退院後当施設に通所開始。発病後9ヶ月で初めて電車に乗れるようになりました。

Bさん 50代男性 脳出血後右片麻痺でリハビリ病院退院時は車いすからベッドへの乗り移りも見守りが外せなかった。当施設で半年のリハビリで屋外を杖で歩行可能となった。

Cさん 発病あら5年経過したパーキンソン症候群の方。転倒が頻回であったが、1週間の集中的なリハビリで外出ができるまでに改善。

私の経験では半年以上経っても”グッ!”と変化する方が多くいらっしゃいます。

重要なことは期間ではない!

発病後間もない時期は目まぐるしい改善が望める時期ですがこの時期は一度きりです。振り返ってもこの時期には戻れません。

今この時期にいらっしゃる方が読まれていたら今後のリハビリの方向性や社会参加についてご家族やリハビリの担当療法士とよく相談することをお勧めいたします。

”いつでも取り組めるからとそのうち取り組みましょう”と思わないようにお願いします。

私たちの体は使わなければ衰えていきます。廃用と言います。

そのような状態にならないように運動の量を保つことは言うまでもなく重要なことです。

神経が回復した時に、筋肉がやせ細っていたのでは動けるはずがありません。

今何に取り組むか、どのように取り組むかが大切かと思います。専門職である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の担当の方に今後のことなどよく相談してみると良いと思います。

あきらめずにより良い方向性を探ることが必要です。

まとめ

発病から半年たつと回復しないということはありません。その時の病状、症状、目標にに合わせたリハビリを行うことが重要と考えられます。

脳卒中のリハビリについては下の記事にまとめています。併せてこちらもご覧ください。

この記事を書いた人

塚田 直樹
Rehabilitation Plus 代表 理学療法士として20年以上の経験 専門理学療法士・認定理学療法士・ボバースインストラクターとして年間50以上の研修会に登壇している