更新日:2022.04.07

パーキンソン病の運動症状・非運動症状を解説

パーキンソン病は中脳のドーパミン細胞の欠落により、「固縮、安静時振戦、無動(寡動)、姿勢反射障害」を四徴とする神経変性疾患で、65歳以上の有病率は1,000人に1人(0.1%)程度と考えられ、日本では16万人以上がり患しているといわれています(平成26年)。

また、平成17年の調査では14.5万人との統計が出ており、高齢化社会に伴い有病者数も増加しているとの報告もあります。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の症状は以下の4つが主な症状とされていました。

  • 筋固縮 : 筋肉の硬さ
  • 安静時振戦 : じっとしているときのふるえ
  • 無動 : 動き始め遅さ、動作緩慢
  • 姿勢反射障害 : バランス障害

例えば「手足の震え」や「足取りがおかしい」といったことから病院を訪れ、臨床的観点からパーキンソン病との診断が下されていました。

そのため、発病時に振り返ってみると、「非運動症状が以前からあった」ということがしばしばありました。

今日では診断技法なども変化してきているようで、症状の中に姿勢反射障害を含めない場合もあります。

パーキンソン病の症状と経過

パーキンソン病の非運動症状

パーキンソン病の非運動症状は発病の20年以上前から出現することがわかっていて、うつやレム睡眠障害、便秘、嗅覚障害などが発病前から見られることがあり、発病後に不眠、神経因性膀胱、認知機能障害などを示すことがあります。

精神障害

うつ状態は発病前から見られることのある症状のひとつで、快楽の消失や興味の減退、意欲、関心の欠如などが見られることが多く、パーキンソン病と高率に合併します。

睡眠障害

レム睡眠行動障害(29.6%)や不眠(36.9%)、過眠(21.2%)などの症状がみられることがあり、具体的にはレム睡眠期に筋緊張の抑制が十分でないことから大声を出す、動きだすなどの行動異常が見られることがあります。

行動障害

ギャンブル依存、買い物依存、性欲亢進、過食などの行動抑制障害が見られる。元からの性格と考えてしまうことが多く見逃され患者、家族のQOLに深刻な問題を起こすこともあるので注意を要します。

自律神経障害

便秘が最も高率で出現するが、自律神経系の障害だけでなく水分摂取や運動量の不足なども要因として配慮する必要があります。

神経因性膀胱による頻尿や起立性低血圧も高率に発生し、起立直後の転倒に注意しましょう。

また、起立性低血圧は食後も起こることがあり同様に注意が必要です。

感覚障害

痛みを有する症例がしばしばみられ、運動症状による二次的なものや変形性脊椎症などによる神経因性疼痛によるものなどがあるが、加えて原因のはっきりとしない中枢性疼痛もあります。

また嗅覚障害は80%程度に出現するといわれますが、完全な脱失はありません。

まとめ

パーキンソン病の症状は、運動症状のみならず、非運動症状や合併症を考えたリハビリを計画することが重要です。

不眠などの影響から食事時間がまちまちとなり服薬時刻が一定化しないなど生活リズム全体の見直しが必要な事が多いと思います。

パーキンソン病のリハビリについては下の記事にまとめていますので、是非ご覧ください。

この記事を書いた人

塚田 直樹
Rehabilitation Plus 代表 理学療法士として20年以上の経験 専門理学療法士・認定理学療法士・ボバースインストラクターとして年間50以上の研修会に登壇している