更新日:2022.03.16

上肢の屈筋痙性を考える

上肢の屈筋痙性(痙縮)により上肢機能が妨げられている脳卒中後の方は多いかと思います。また、そのリハビリに取り組まれている療法士の方も多くいらっしゃると思います。

今回は、脳出血後「(麻痺側)上肢の屈筋痙性により手が自由に使えない」という方のリハビリを行いましたので簡単に報告いたします。

上肢の役割は主に次の3つだと考えます。

  • 物を操作する
  • 支える
  • 物を認識する

ところが、上肢機能の回復=ものを操作することとなっているように思います。
バランスのために支えるあるいは、物を認識するために手で物に触れる練習は行われていますか?

症例の紹介

50代 男性 脳出血後(発症から1年半経過)
北陸地方から当施設でのリハビリ目的に1泊2日で上京し、1時間×3回のリハビリを行った。
今まで通所リハビリとかかりつけ医によりボトックスの注射を受けている。

リハビリでは、体幹から上肢に付着する広背筋や大胸筋の筋活動を求心性だけでなく、遠心性収縮にするためバランスの練習と組み合わせて行いました。

その後、上肢で支える練習を行い、両腕で支えられるようになりました。
腕が延びると指先も動き出し、腕全体の重さも軽く感じるようになってきました。
筋活動が変化してきた結果かと思います。

結果、膝の上に手を置いて座っていられるようになり、立位でも腕が下垂していられるようになりました。

上肢機能とそのリハビリをもう一度考えてみませんか?

まとめ

手の役割は物を使うだけではありません。物を使えるようになるために、支えること、感じ取ることの練習も併せて行っていくことはとても重要なことになります。

手の機能回復に向けたリハビリは下の記事も参考になると思います。

脳卒中のリハビリについては下の記事にまとめています。併せてこちらもご覧ください。

この記事を書いた人

塚田 直樹
Rehabilitation Plus 代表 理学療法士として20年以上の経験 専門理学療法士・認定理学療法士・ボバースインストラクターとして年間50以上の研修会に登壇している